子供の場合約1割の割合でアトピー性皮膚炎を発症しているというデータが残されています。
特に乳幼児は皮膚が薄く、体内の免疫機能もしっかりと確立されていないため、この時期に発症する事が多いとされています。
本来乳幼児の免疫機能は母乳に含まれるラクトフェリンなどの成分によって強化されていきますが、母乳で育てられる割合が少なくなった高度成長期以降にアトピー性皮膚炎を発症する子供の数が増大している事からも母乳による子育ての重要性が見直されはじめています。
実際に戦後からみられる乳幼児のアトピー性皮膚炎の発症時期は離乳食による食物アレルギーから始まっている事が多いとされています。
これも本来母乳から得られる免疫力強化物質を十分に摂取出来ていない事が原因ではないかと考えられているのです。
そしてこの時期に強いアトピー性皮膚炎を発症している場合、小児ぜんそくやアレルギー性鼻炎などを合併しているケースが多いという報告もされています。
更に考えられる原因因子としては乾燥肌が挙げられます。赤ちゃんの肌は瑞々しくてつるつるしているというイメージがありますが、実は汗腺が十分に発達していない赤ちゃんの肌は乾燥しがちです。
また成長期にはホルモンのバランスが一時的に崩れるため皮脂のバランスも崩れ乾燥肌になりやすくなります。
乳幼児期にはよだれや食べ物の汚れが付いた時に皮膚を強く擦る事で皮膚炎を起こしやすくなり、成長期には外気やホコリ、ハウスダスト等の刺激からアトピー性皮膚炎を発症しやすくなると考えられています。
このように子供にはアトピー性皮膚炎の発症リスクが大人よりも遥かに多いので、患者数も多くなるのです。
ただし、これまでにも説明してきた通り、子供のアトピー性皮膚炎は成長と共に自然消滅していく事が多いのですが、ストレスが大きな社会問題となっている現代では大人になってからもアトピー性皮膚炎を発症するケースが増えていると言われています。